REPORT『詩作』三角みづ紀

2015年7月4日から8月16日まで群馬県前橋市のヤーギンズで行われた詩人の三角みづ紀による展示『詩作』が開催された。

日々の風景の中からモチーフを得て、自分がもったイメージを詩に落とし込んでいく。
彼女にとって詩を書く行為とは自分自身を投影する行為であり、自分そのものである。
三角みづ紀というフィルターを通して世界がどのように詩に変換されていくのか。
視覚効果と聴覚効果を用い一般的な詩の展示とは異なるアプローチで制作を試みた。

ー自己紹介をお願いします。

詩人の三角みづ紀です。詩人は職業ではなく生き方なので、 職業としては文筆家になると思います。

ー『詩作』とはどういう展示だったのでしょうか?

詩を作る過程を映像化し、音にした展示です。机に向かって実際に詩を書く時間より、 そこに至るまでの過程が詩作の長い作業になります。いってしまえば、生きているだけで詩を書いている。 『詩作』という展示は、わたしが普段おこなっている叙事詩や叙情詩の制作過程を、 詩と向きあう思考回路から紙に書いていく行為までをあらわしました。

Release Date: 2015.10
Recording: Ryota Fujiguchi
Shoot and Editing: Atsushi Sugimoto

ー今回の展示で意識したことを教えてください。

わたしは美術大学に通っていたけれど、在学中に詩に熱中したのでろくすっぽ美術を学んでいません。 常に、まわりに、自分よりすぐれている様々な専門家がいる状態でした。 そうしたら、ポジティブに「まかせたい人にまかせたい」と考えるようになりました。 今回の展示でしたら、映像は杉本篤さん、音は藤口諒太さんです。 「こういうことがしたい」と発案してから殆どおまかせ状態になりましたが、 そういう状況があるからこそ、ひとりでは作り上げることができないものが完成する。 自分の個展であるからこそ、自身で楽しむことができるよう意識しました。

  • 『詩作』三角みづ紀
  • 『詩作』三角みづ紀
  • 『詩作』三角みづ紀
  • 『詩作』三角みづ紀
Photo: Satoshi Mouri

ー作品をつくる上で大切にしていることを教えてください。

余白を大切にしています。観る方、読む方、聴く方がいろんな解釈ができるように。 たくさんの想像力を与えることができるように。

ー詩を書くことを続けていくことでどんなことをしていきたいと考えていますか?

先に述べたことと重複してしまいますが、余白がある詩を書いていきたいです。 自分が書いた詩は、発表した時点で自分のものだけではなくなると考えており、 共有できて、気になったフレーズをゆくりなく反芻されるようなものを書きたい。 それは紙の上だけでなく、気づけばすぐ近くに「詩」がある世界をつくっていきたい。

ー今後の活動予定を教えてください。

年末に大阪iTohenでの展示を予定しています。11月にはしずおか連詩の会に参加します。 ひとりではおこなえないことをおこなうことが楽しみです。 来春には遠藤ミチロウさんのドキュメンタリー映画『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』(シマフィルム株式会社製作・配給)が上映されます。 ミュージシャン遠藤ミチロウの還暦の旅をめぐるドキュメンタリー映画に出演しております。ぜひともご覧ください。

PROFILE プロフィール

三角みづ紀(みすみみづき)

三角みづ紀(みすみみづき)

詩人。1981年生まれ。鹿児島県出身。
東京造形大学造形学部デザイン学科視覚伝達専攻卒業。
20歳の冬より1年半にわたる奄美大島での病気療養中に、現代詩手帖に詩の投稿をはじめ、22歳で第42回現代詩手帖賞を受賞。第1詩集『オウバアキル』で第10回中原中也賞、第2詩集『カナシヤル』で第18回歴程新鋭賞、2006年度南日本文学賞を受賞。

2008年5月第3詩集『錯覚しなければ』を思潮社より上梓。同年の秋から朗読や音楽の活動をはじめる。
2009年6月初の小説『骨、家へかえる』が講談社より刊行される。
2010年9月三角みづ紀ユニットとしてファーストアルバム『悪いことしたでしょうか』をペルメージレコードより発表。
2010年12月遠藤ミチロウ還暦記念トリビュートアルバム『青鬼赤鬼』(北極バクテリア)に「早すぎた父親」で参加。
第4詩集『はこいり』を思潮社より上梓。
2011年9月 三角みづ紀ユニットセカンドアルバム『幻滅した』を発表。
2012年3月 西日本新聞でのエッセー連載のためにホノルルにて2週間の滞在執筆。
2012年7月書肆侃侃房より初の絵本『あした、せかいが』(画・青山健一)を刊行。
2012年8月 欧州文化首都マリボル関連プログラムの国際詩祭『Days of Poetry and Wine』に招聘される。
2013年5月 連詩集『悪母島の魔術師』(思潮社)を上梓し、第51回藤村記念歴程賞を受賞。
2013年10月 リトアニア国際詩祭に招聘される。
第55回ヴェネツィアビエンナーレ日本館(代表作家・田中功起)によるプロジェクト『a poem written by 5 poets at once』に参加。
2014年3月前橋のアートスペースya-ginsにて初の個展を開催。
2014年6月 東京都現代美術館での『ミッション[宇宙×芸術]―コスモロジーを超えて』にoblaat(谷川俊太郎、三角みづ紀、最果タヒ、穂村弘)として詩の展示を行う。
2014年8月 ヨコハマ・パラトリエンナーレ2014の会場内にダイアログ・イン・ザ・ダーク×三角みづ紀で詩の案内標識を展開。
現代詩文庫206『三角みづ紀詩集』(思潮社)が刊行される。
2014年9月 第5詩集『隣人のいない部屋』で第22回萩原朔太郎賞を史上最年少受賞。
2014年11月 三井不動産レジデンシャルグループのシンポジウム「ミライ×マンション×ミーティング」のために書き下ろした詩「やさしい窓たち」を発表。
2015年3月 ベルギーでのポエトリーフェスティバルに招聘される。
2015年7月 前橋のアートスペースya-ginsにて2回目の個展を開催。
第6詩集『舵を弾く』(思潮社)を上梓。
2015年9月 スパイラル30周年記念事業展覧会『スペクトラムーいまを見つめ未来を探す』で、現代美術家である栗林隆の作品「Vortex」の詩を公開制作し展示をおこなう。
2015年10月 書き下ろした1篇の詩「The Eternal Symphony」からサーカスアーティストの金井ケイスケを中心に、全ての人が同時に楽しめるパフォーマンスを追求していくプロジェクト『SLOW MOVEMENT』がスロームーブメント実行委員会(スパイラル/株式会社ワコールアートセンター、特定非営利活動法人スローレーベル)の主催により始動。