映画「キャプチャード・イメージズ」全編配信中

監督 杉本 篤  出演 伊澤 早穂

制作 : bluefilmproducts /デザイン : 岡田 俊樹 / 製作著作 : HULAHOOPERS
音楽 : sphontik, Mattia Coletti, Neal ”Nao” Hendrix / 写真提供 : 平野 太呂, 内海 盛彦, 小澤 千 一郎 (WHEEL SKATEBOARD MAGAZINE)
映像提供 : 田内 努, 森下 肇, 漆間 正則 (KUKUNOCHI CORP.), 北澤 直樹, 佐藤 克明, 鈴木 広太郎, 鈴木 大輔

Captured Images(キャプチャード・イメージズ)
HULAHOOPERS ya-gins UPLINK bluefilmproducts

スケートボードがある風景を記録することで生まれた疑問。ある枠組みから飛び出そうとする衝動。独立した存在はいつの間にか大きな波に取り込まれていく。

INTERVIEW

はじめに

私は音楽をつくる時、少なくはない選択をしている。BPM、音色、旋律やスタイル。 この作品を見て一番厄介だったのは、自分を伊澤早穂に照らし合わせて、今まで自分が選択してきたものに「疑問」を感じてしまったことにある。 そこからの私は自分の感覚を信じられなくなってしまった。この作品の公開が近づく中で、早穂さんに顔を合わせるごとに「それでスケボーやめなかったのはなんでなの?」とか 「どうやって抜け出したの?」とか幾度となく質問した。結局、納得のいく答えはもらえなかったが、この作品を見た後、私と同じ”Captured Images症候群患者”が生まれるかもしれないと考えた私は、もう一度答えのようなものを求めてインタビューをすることにした。 (テキスト:岡田俊樹)

岡田: まず、この作品で一番大きな実験は明確な答えがないというか、二人の間でも出ていないことだと思うんだけど、これについてどういう思いがあったの?

杉本: 本当は答えがもう少し分かっているつもりだったけど、制作を進めていくにつれて分からない事が増えていくのを感じたんだ。それでも「自分たちでいくら考えても答えがでないことを考えている」っていう事実だけでも作品にして発表することに何かしら意味があるんじゃないかって思ったんだよね。

伊澤:自分の場合は作品を作ることで答えを出すというより、何か新しいことが見えるんじゃないかな、っていう期待があったんだよね。「これはこういうこと」みたいな1つの答えに向かっていく風潮に根本的に馴染めないところがあって。考えながら答えを出さずに留めることを意図したかな。

岡田: 作品中盤のメディアに露出している頃の話で、自分自身のやっていたことを否定するような言葉があったけど、それって実際はかなり辛いことだったと思うんだけど、どうやってそこから抜け出したの?

伊澤: メディアに出れている当時はやる気満々だったんだけどね。それだけに、そういうスケートボードのやりかたがしっかり身についていて、今でも抜け出せてはいなくて。時間とスケートボードの撮影を経ながら自然と変わっていったかな。特に「Me and My Friends」の撮影は大きなきっかけだったかもしれない。

岡田:作品後半ではスケートボードを始めた頃に感じた、日常と比較してスケートボードがある場への違和感というか、特別な感じ、それを感じられるようなことが好きって話していたけど、その特別な何かはこれからスケートボードで作っていけそうですか?

伊澤: スケートボードで特別な何かをしようという気持ちは特にないんです。なんかこれ、ちょっと変だなって思うものとか事柄に興味があるわけで。

岡田:ラストのスケートボードのシーンでは、よくあるスケートビデオのようなトリックを見せるものとは違う感じを受けたんだけど、何か狙いがあったの?

杉本:あったかな。作品中でも言っているけど、無意識的に決定してしまっている善し悪しってあると思うんだ。そういう自分たちが常識だと思っている事じゃないことを取り入れることが大きなテーマだったんだよね。
撮影について言えば、早穂君の意向でもあったんだけどいわゆるスケートスポットでは撮ったりしないで、直感的に自分たちで「ここでやってみよう」って思ったとこで撮影したんだよね。 その時の感情に素直にね。そしたらなんて言うか単純にすごく楽しかったんだ。あの感覚はスケボーを始めた頃の好奇心に溢れた感じに近かったんじゃないかな。見方によっては、この作品は本気のスケボーをやっているとは思えないかもしれないけど、自分たちが今やりたい本気のスケボーがこれなんだよね。作品中に思想とか思考の部分をもう少し取り込んでいきたいというのがあって、考えた上で意図的にああいうフッテージを使っているんだ。

伊澤:大きな前提に疑問を投げかけるみたいなのがテーマにあったから、トリックも大きな前提にないようなものを取り込んだんだよね。

岡田: まぁ確かに外国のブランドのビデオみたいに、商品や人のプロモーションのわけでもないしね。でもそういうものがカッコイイっていう風に出回っているからね。プロモーションじゃない作品でもそういう体裁で作っているのもあるよね。

岡田:話は変わるんだけど、早穂さんは迷いとかなんだとか散々あってそれでもスケートボードを続けている理由はなんですか?

伊澤:理由って程じゃないけど、半分は習慣で半分はやっていて単純に楽しいからかな。天気のいい日に散歩したくなるのと同じで、そこら辺をスケボーでぐるぐる回っているのがすごく楽しい。言葉にするとバカみたいだけどね。あと長年やっているから「オレはどうしてスケボーをやっているんだろう」って疑問に思うけど、それがスケボーを続けている理由でもあるかな。

岡田:じゃあ最後に、杉本篤のスケートボードを題材にした次回作はどうなるの?

杉本:今撮り出したところなんだけど、自分はすごく不格好でもヒリヒリしている何かが伝わってくるような滑り方をする人とか、そういうモノが好きだから自分が感じるスケートボードの魅力を撮った作品をつくりたいね。 "Captured Images"をやってまたスケートボードの作品を撮る事に可能性を見いだせたと思うよ。

岡田:早穂さんもそこには当然出るんだよね?

伊澤:いや...。オレはもうダシが出きっちゃった煮干しみたいになっているからいいです...。